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品川をぶらり

オラファー・エリアソンの「影の光」を見に、原美術館へ。
企画モノ最終日、という原美に行ったのははじめて。しかも日曜日。
やんややんやと人が賑わい、少しだけ文化祭のような雰囲気。
これもまたご愛嬌。とてもたのしく拝見しました。

1つの部屋でスコンと一人になる。作品と私だけ。
外は日の光でいっぱいで人々の気配が満ちていて、
たった一歩入っただけのその場所は、切り取られたように静寂のなか。
彼に「つくられた」影とその光だけが雄弁にそこにいて。
なんともエロティックな瞬間。

その後カフェで、たくさんのカップルや大学生や家族を見る。
みんなが楽しそうで、こちらも楽しい気持ちになってくる。
この理由もなくうきうきした気持ちは恋のそれと非常に似ていて、
いったい何に、と思うがわからない。強いて言えば季節に、
なんだけど、フレーズになるとなんとも照れくさい。

友人との待ち合わせの時間までだいぶあって、一人でブラブラと
品川散歩。高輪口のすぐそばの神社に寄る。ビルとビルの狭間で
窮屈そうにしている高山稲荷神社。階段を上がってお参りをすませ、
振り返る。昔むかし、もっと長かった階段をあがり、一息ついて、
すぐ下に広がる海を眺めた人の気持ちになってみる。

駅の付近はもう海だったというから、さぞや良い眺望だっただろう。
穏やかな広い広い、遠浅の海を思う。
「お江戸日本橋七つ立ち」。品川宿に着く頃は、やっとあたりが
白み始めたころだろうか。もうちょっとかかるんだろうか。
どちらにしても設定は朝。これから始まる一日を思い、
海を見下ろす旅人になる。大きく深呼吸をする。

1枚1枚、皮をはぐように私は私に近づいて、その分、
外の空気が直接触れる。季節を味わう。良い一日。

by sho-ji21 | 2006-03-06 11:40

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