人気ブログランキング | 話題のタグを見る

新月

ある夕方の記憶。あれは笑点だったか、
薄暗いなかテレビがぼんやりとついていて、
そろそろ雨戸をしめようかというような時間。
小学生の私は見るともなしにテレビを見ており、
離れた場所で風呂上りの父親が足の爪を切っていた。
パチンパチン。台所には母。ゆるい日曜の風景。

次の瞬間、目にすごい衝撃が。
何が起こったかもわからぬまま「ぎゃー」と叫ぶ私。
一家騒然。なんだどうしたとの問いに、
これなんだと自問するくらいの
唐突な出来事。(笑点から一転だもの。)

目に虫でも入ったんじゃないかと言いながら、
父が検分。未曾有の痛みは一瞬も治まらない。
数分の格闘の末、やっとその原因が取り除かれた。
救世主ーと涙ながらに父を仰いだのもつかの間、
出てきたものは父の足の爪だった。
爪きりからダイレクトにダイブしてきたと思われる、
しっかり弓なりのカタチのやつ。

バツの悪そうな父。
それを叱る母。
私はなんだかその図も含めたいろいろが
おかしくなってきちゃって、
一人で笑いが止まらなかった。

細い月の頃に、このことを
思い出してしまうときがあります。
「月→父の爪」というのは、はなはだ不本意な
連想ではありますが。

昨日は新月でしたね。
また新しい一周のはじまりです。

by sho-ji21 | 2007-03-21 01:45

<< 祝いグラス 赤い梅 >>