3歳と40歳



息子が3歳だ。
感慨深い。
三つ子の魂が形成されてしまったのかー

 ◇

我が家は村の集合住宅。
中学校のグランドの横にある。
先日、中学校の用務員さんが木をぼんぼん燃やしていたので、
息子と見にいった。
(いちおう関係者以外立ち入り禁止なんだけど、
けっこうゆるく出入りしてしまっている。
特にグランドは幼児をリリースするにはすばらしい環境。
←車がこないからね)

たき火のあたたかさは格別だ。
息子も火に見入る。
用務員の方と時々おしゃべりなんかしながら離れがたく思っているうち、
程よい熾き火になってきた。
あーこれはあれをなにするのに最高だーうわーと、
私の頭があいつでいっぱいになってきた頃、それがばれたか用務員さん、
「芋でも焼いちゃえば」とにっこり。

半分冗談だったのだろうに、
「あの。ほんとうに持ってきてしまいたい。
一個だけいいでしょうか。」と、わたし。
そして息子と二人グランドを駆け抜け家へ戻り、
アルミ箔に包んだ芋一個と軍手を持ってまた走り、
公共の場で禁断のやきいもを仕込んだのでした。

あともう少しで良い頃合い、というときに、
理科の授業の中学生が、わらわら外にやってくる。
さすがになんとなく後ろめたく思われ、あわてて掘り出し走って退散。
(「引けーい、引けーい」)
中学校と我が家のあいだの土手に座って、
焼きたてほやほやの芋を食べる。
おやまがきれいだね、きれいだねかあちゃん、とか言い合いながら。
ご近所のおばちゃんが、なんかいいもん食べてるなーと笑いながら通り過ぎる。

ああ、なんだろう、このしあわせ。
息子は元気で、空はあおい。
芋はうまい。
他になにをのぞもうか。
と思いました。

 ◇

わたくし、しじゅうになりました。
半年くらいまえですが。
30代に乗ったときとはやはりちょっと違う響きと重みが感じられ、
おお、とオノノク思いでしたが、
そうは言いつつ最近の物忘れはひどくって
なかなか40歳の自覚もないような日々ではあります。
(ときどきふっと、この良き季節がいま、
寒さに向かう良き季節なのか暑さに向かう良き季節なのかすら見失う有様)
そんなこんなで今さらですが、
しじゅうになりました。

そしてこれ(しじゅうのわたし)、なんとなくですが、
今まででいちばん、状態が良いのです。
メンタルフィジカル両面で。
もちろん衰えもそれなりありますが、
そういう諸々を「さもありなん」と受け入れたそのうえでなお、
なんだか今、いいなあと思うのです。

 ◇

書きながら気付いたけれど、ここで言ってる「いい」っていうのは、
「ずっとよい」とも「平均的によい」ともちがうようだ。
例えば精神的なことにしてみても、こころがいつも穏やかで健やかだ、
とかではない。まったくない。
変わらず嵐も吹いて、もしかしたらその波は時に今までの比じゃなく高くって、
そんなときは「わたしはもうだめだ」とたしかにがっくりきているのだった。
まっくろけなこころで夫に毒づいたり、
疲れて息子にイライラしたり、
よからぬことになったときのその「よからぬ度数」でいえば、
きっと人生最高値だって(頻繁に)更新していそうなのだ。
じゃあいったいわたしは、
なにをもって「けっこういい」と思っているのだろうな。

よからぬことになっているさなかであっても
そんな自分を見ているそれとは違う自分がいて、
そっちが今までより育ったのかな。
そっちに戻るのが早くなったのかな。
うーん。
たぶん、あちゃーダメだったなー、ってときやことや自分に
とらわれすぎなくなったってことかもしれない。

(時々へんなことに)まじめな私は、
どんな自分にも必要以上に向き合いすぎてしまうから、
(そんな、過去何千年と女性すべてが共有してきた闇とまで
真っ正直に向き合ってどうするの、とかそういうこと)
それがずいぶん不真面目になったということで、
そのいいかげんさが、たぶん、今までになく
良い加減なんだろうな。

いつだったか、はっと気付いたことがあった。
成長って、弱さ幼さを克服してゼロに近づけていこうという発想の先には
もしかしたらないんじゃないか、というようなこと。
むしろ、自分のなかのそういう部分に気付いて、気付いたらただみとめて、という、
ちいさなちいさな作業のその先にあるようなものなんじゃないか。
ただ結果として以前と違う地平にいる自分を知るというような。

それと一緒なのかも。
暗い自分も、
おどろおどろしい自分も、
母となったからこそ出会う未知なる驚愕の自分も、
全部全部、びびらず嫌悪せず、
「ああ、こんな自分も」
とちいさくみとめる。
その先にしかない自由が、やっぱりある、
ってことなんだろう。
それはきっと、自由って言っちゃっていいんだろう。

 ◇

そんなことを、ときどき考えています。

でもほとんど、あんまりものを考えていません。

今はこの、バッタバタの日々がとてもいとおしい。
わたしなりコツコツ積み上げてきた、
こうありたい、というようなことどもが
あっさり次々ひっくりかえされていくような
この毎日が、おそろしくもおもしろい。
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by sho-ji21 | 2014-12-18 23:22

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