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タオルと母の小芝居

幼稚園にあがる前、大好きなタオルがあった。
端を握り締めてどこにでも持っていったし、寝るときも一緒だった。
すぐ汚すのですぐ洗ってくれたけど、変な話、
洗い立てより1日たった匂いのほうが安心できて好きだった。

今でもよく覚えている記憶。
幼稚園のスモッグや帽子などを新しくそろえてもらって
1週間くらいウキウキ過ごし、さて明日入園式という夜のこと。
母さんが黄色い新しい鞄を手に、深刻な顔でこう言った。
「・・・相談があるんだけど。」

この鞄にあなたのタオルを入れるとお弁当が入らない。
お弁当を入れるとタオルが入らない。どうしたものか。

相談はそういう内容だった。たぶん母さん苦肉の策。
タオル離れのチャンスと思って打った一芝居。
私は真剣に困った。がーーーーんと音がした。
タオル無しの生活なんて考えられない。
でもお昼なしは相当つらそう。

記憶に残る懊悩初体験。どのくらい長い間考えたかは
覚えてないけど、本当にいろいろなシチュエーションを想像し、
思い巡らし、私はとうとうお弁当を(食べ物を)選んだ。
そして、次の日からのあまりに刺激的な毎日に、
私はそのままタオルを忘れた。

「自分で選ぶ」ということを考えててふと思い出した。
母さんったらすばらしい。
考え中の私を見て、えーーっ、ここまで悩むのーー?!って
思ったかも。タオルって言いかねないよ、このバカ。って。
でも答えを出すまで待っていてくれて、ありがとう。
娘はいろいろ思い出しては、母から学んでおりますよ。

by sho-ji21 | 2005-10-03 11:41

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